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推拿(すいな)とは?

鍼灸・漢方と並ぶ中国三大医療の一つです。あらゆる整体法の源流であり、最もバランスのとれた優れた整体法といえます。

推拿の「推」は ”押す” 、「拿」は ”つかむ” という意味で、代表的な手技から命名されています。

手技の種類は多く、”押す”、”つかむ”、”もむ”、”転がす”、”叩く”、”揺らす”などの手技を適切に選択して施術することで、

高い効果を発揮します。                                               

ゆがみ、コリ、冷えといった身体上のバランスの崩れた状態を骨格・筋肉・神経・経絡・ツボに刺激を与えることで、

バランスのとれた状態に戻して、自律神経を整え血流を良くして、身体を活性化し、人間が本来持っている自然治癒力、

抵抗力、免疫力を高めていくものです。

華佗夾脊(かだきょうせき)

背骨(第一胸椎~第五腰椎)の棘突起から両側に0.5寸(指寸)離れたところにある左右各々17穴のツボ群が“華佗夾脊”と

呼ばれるものです。これらツボ群に刺激を与えることで、様々な症状の緩和&改善に非常に高い効果を発揮します。

順次、ツボ群に肘圧を加えていくことが、推拿整体の様々な施術の中でも基本中の基本であり、主要手技の一つと考えています。

背骨のキワであり、背骨に当てることなく、かつ背骨から離れすぎず、正確にポイントを捉えることや被施術者の体格、体力、

体調等を考慮した力加減ならびに身体の中心方向に力軸を保つことなど慎重に施術していくことが肝要であり、精神集中する

ことが不可欠です。

また、すべての手技に通ずることですが、一定のリズムを奏でるように施術流れを円滑にすること。

これも整体施術において、大切な要素になります。

天柱(てんちゅう)&風池(ふうち)

後頭骨と頚椎上部の境目にある窪んだ箇所が、“盆の窪”と呼ばれるところです。

天柱はここから左右にわずかに離れた位置にあり、風池はそこからさらに離れた位置にあります。

この2つのツボは、頭痛、目の痛み、首コリ、自律神経症といった首から頭部に関わる症状改善に高い効果を発揮します。

被施術者の反応を見ながら、盆の窪の位置から左右にポイントをずらしつつ、適度な力加減で親指で押していく施術を症状に

応じて適度に数回繰り返します。

天柱と風池は、この箇所が極端に柔らかい緩い状態にある方を除き、施術ポイントとしています。

特にこの箇所が硬くなっている方には、不可欠な施術ポイントになります。

肩中兪(けんちゅうゆ)&肩外兪(けんがいゆ)

肩中兪は、第7頚椎棘突起と第1胸椎棘突起の間の位置から外側2寸のところにあり、肩外兪は、第1胸椎棘突起と

第2胸椎棘突起の間の位置から外側3寸のところにあります。

どちらも、肩こりおよび背中上部の痛みなどの症状改善に効果を発揮します。

肩こりが顕著で肩全体が硬くなっている場合、指圧→肘圧にて力加減を考慮することならびに症状に応じて適度に施術を

数回繰り返します。

足の太陽膀胱系-背中のツボ

第一胸椎~第七胸椎の各々棘突起下縁の位置から外側1.5寸のところにある7つと第九胸椎~第五腰椎の各々棘突起下縁の位置から外側1.5寸のところにある9つの16箇所が、“足の太陽膀胱系”の経絡に含まれる背中のツボになります。

背骨のキワのツボ群“華佗夾脊”より、さらに1寸外側の縦ラインに存在しています。これらのツボを押して刺激を加えると、背中の筋肉を緩めて血流を改善すると共に各々のツボが関連する内臓機能を高める効能/効果があり、身体を活性化させます。

①第一胸椎 棘突起下縁の位置から外側1.5寸→ 大序(だいじょ)

②第二胸椎        〃      → 風門(ふうもん)

③第三胸椎        〃      → 肺兪(はいゆ)

④第四胸椎        〃      → 厥陰兪(けついんゆ)

⑤第五胸椎        〃      → 心兪(しんゆ)

⑥第六胸椎        〃      → 督兪(とくゆ)

⑦第七胸椎        〃      → 膈兪(かくゆ)

⑧第九胸椎        〃      → 肝兪(かんゆ)

⑨第十胸椎        〃      → 胆兪(たんゆ)

⑩第十一胸椎       〃      → 脾兪(ひゆ)

⑪第十二胸椎       〃      → 胃兪(いゆ)

⑫第一腰椎        〃      → 三焦兪(さんしょうゆ)

⑬第二腰椎        〃      → 腎兪(じんゆ)

⑭第三腰椎        〃      → 気海兪(きかいゆ)

⑮第四腰椎        〃      → 大腸兪(だいちょうゆ)

⑯第五腰椎        〃      → 関元兪(かんげんゆ)

経絡、ツボおよび十四経脈について

中国哲学において、“気”は生命エネルギーであり、全宇宙に広がって、あらゆる生命に活力を与える重要な存在であると考えられています。

中医学では、体内における気の通り道を“経絡”と呼び、気がバランス良く円滑に体内の経絡を流れることで、心身の健康を維持できるものと捉えています。

特に治療に応用される重要な経絡に十四経脈があり、特定の臓腑とそれぞれが深く関わる十二経脈および体の正中線を周回する任脈と督脈を合わせた総称です。

推拿は、筋肉や関節だけでなく、この十四経脈にも働きかける治療法といえます。

また、各経絡に沿って、”ツボ(経穴) ”と呼ばれる特定のポイントがあり、気はそのポイントから体の表面近くへと流れています。

推拿においては、ツボへ強い圧力をかけることによって、気の流れに直接働きかけを行います。

 

□肝経(かんけい) 足の厥陰肝経(けついんかんけい)。大敦(だいとん) → ~ → 期門(きもん)の経絡。

代表的ツボ:太衝(たいしょう)、中都(ちゅうと)、曲泉(きょくせん)

効果的な治療症状:頭痛、めまい、顔面の痙攣、月経前症候群、イライラ、情緒不安定etc.

 

□胆経(たんけい) 足の少陽胆経(しょうようたんけい)。瞳子髎(どうしりょう) → ~ → 竅陰(きょういん)の経絡。

 代表的ツボ:風池(ふうち)、肩井(けんせい)、環跳(かんちょう)、風市(ふうし)、陽陵泉(ようりょうせん)、足臨泣(あしりんきゅう)

 効果的な治療症状:片頭痛、耳の不調、肝臓の不調、首/肩/脚/膝/外踝の痛み、坐骨神経痛etc.

 

□心経(しんけい) 手の少陰心経(しょういんしんけい)。極泉(きょくせん) → ~ → 少衝(しょうしょう)の経絡。

 代表的ツボ:少海(しょうかい)、神門(しんもん)

 効果的な治療症状:心臓の不調、鬱病、不眠症、手首の痛み、舌の不調etc.

 

□小腸経(しょうちょうけい) 手の太陽小腸経(たいようしょうちょうけい)。少沢(しょうたく) → ~ → 聴宮(ちょうきゅう)の経絡。

 代表的ツボ:肩貞(けんてい)、臑兪(じゅゆ)、天宗(てんそう)、県外兪(けんがいゆ)、肩中兪(けんちゅうゆ)

 効果的な治療症状:肩甲骨/背中の中上部/首の痛み、手首/肘の痛みetc.

 

□心包経(しんぽうけい) 手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)。天池(てんち) → ~ → 中衝(ちゅうしょう)の経絡。

 代表的ツボ:曲沢(きょくたく)、内関(ないかん)、大陵(たいりょう)、労宮(ろうきゅう)

 効果的な治療症状:心臓と胸部の不調、不安感/パニック発作、手根管圧迫症候群etc.

 

□三焦経(さんしょうけい) 手の少陽三焦経(しょうようさんしょうけい)。関衝(かんしょう) → ~ → 絲竹空(しちくくう)の経絡。

 代表的ツボ:外関(がいかん)、天井(てんせい)、臑会(じゅえ)、肩髎(けんりょう)

 効果的な治療症状:目と耳の不調、片頭痛、肋骨の痛み、首/肩関節/手首/肘の痛みetc.

 

□脾経(ひけい) 足の太陰脾経(たいいんひけい)。隠白(いんぱく) → ~ → 大包(だいほう)の経絡。

 代表的ツボ:公孫(こうそん)、三陰交(さんいんこう)、陰陵泉(いんりょうせん)、血海(けっかい)

 効果的な治療症状:脾臓/胃の痛み、腹部の張り、脚/踝の浮腫み、月経前症候群/月経不調、不眠症etc.

 

□胃経(いけい) 足の陽明胃経(ようめいいけい)。承泣(しょうきゅう) → ~ → 厲兌(れいだ)の経絡。

 代表的ツボ:梁丘(りょうきゅう)、犢鼻(とくび)、足の三里(あしのさんり)、解谿(かいけい)

 効果的な治療症状:頭痛、歯痛、顎の痛み、顔面麻痺、腹部の張り、下痢、便秘、膝/脚の前面痛みetc.

 

□肺経(はいけい) 手の太陰肺経(たいいんはいけい)。中府(ちゅうふ) → ~ → 少商(しょうしょう)の経絡。

 代表的ツボ:中府(ちゅうふ)、雲門(うんもん)、尺沢(しゃくたく)、列缺(れつけつ)、太淵(たいえん)

 効果的な治療症状: 肺の不調、咳、喘息、胸/喉/親指の痛みetc.

 

□大腸経(だいちょうけい) 手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)。商陽(しょうよう) → ~ → 迎香(げいこう)の経絡。

 代表的ツボ:合谷(ごうこく)、曲池(きょくち)、臂臑(ひじゅ)、肩髃(けんぐう)

 効果的な治療症状:頭痛、歯痛、鼻づまり、肩関節の前面痛み、手首/手/親指の痛みetc.

 

□腎経(じんけい) 足の少陰腎経(しょういんじんけい)。湧泉(ゆうせん) → ~ → 兪府(ゆふ)の経絡。

 代表的ツボ:湧泉(ゆうせん)、太谿(たいけい)、照海(しょうかい)、陰谷(いんこく)

 効果的な治療症状:背中下部の痛み、喘息、浮腫み、膝の裏側痛み、手足の冷えetc.

 

□膀胱経(ぼうこうけい) 足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)。晴明(せいめい) → ~ → 至陰(しいん)の経絡。

 代表的ツボ:天柱(てんちゅう)、肺兪(はいゆ)、心兪(しんゆ)、膈兪(かくゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、胃兪(いゆ)、腎兪(じんゆ)、

 大腸兪(だいちょうゆ)、承扶(しょうふ)、委中(いちゅう)、承山(しょうざん)、崑崙(こんろん)

 効果的な治療症状:目の不調、背中下部/脚の裏側/外踝の痛み、排尿障害、あらゆる内臓の不調etc.

 

□任脈(にんみゃく)*会陰(えいん) → ~ → 承漿(しょうしょう)の経絡(陰の正中線)。 

 代表的ツボ:中極(ちゅうきょく)、関元(かんげん)、気海(きかい)、中脘(ちゅうかん)、膻中(だんちゅう)

□督脈(とくみゃく)*長強(ちょうきょう) → ~ → 齦交(ぎんこう)の経絡(陽の正中線)。 

 代表的ツボ: 命門(めいもん)、大椎(だいつい)、百会(ひゃくえ)

*注)任脈と督脈は、十二経脈の気の流れと通じ合って、全般の気の流れを調節する。

 

<参考文献>

■「スイナ式中国整体」  著者:マリア・マーカティ 発行元/発売元:ガイアブックス/産調出版

■「ツボ単」  著者:坂元大海、原島広至 監修:形井秀一、高橋研一 発行者/発行所:吉田隆/株式会社エヌ・ティー・エス

■「実用中国手技療法」基本編/臨床編   著者:張軍 発行元/発売元:ガイアブックス/産調出版

■「プロの整体術・伝授」  著者:中山隆嗣 発行者/発行所:東口敏郎/株式会社BABジャパン 他

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